公益通報者保護とは、
「公益のために通報を行った労働者を保護するためのツール」
消費者庁HPより
従来、「リコール隠し」や「産地偽装」「事故の隠ぺい」などの会社の不祥事について、労働者から行政機関などへ通報(内部告発)が多くなされてきました。
公益通報を行った労働者が保護されないと、公益通報をしたことによる不当解雇などの不利益を被る可能性がありますので、労働者が安心して公益通報をしやすくするための法律が「公益通報者保護法」です。
「公益通報者保護法」の改正
「公益通報者保護法」は2006年に施行され、施行後5年を目途に見直しするとされていましたが、2022年6月から改正法が施行されました。
以下の4点が改正のポイントです。
- 事業者の体制整備の義務化
- 事業者内の「通報窓口の設置」
(300人以下の中小事業者は努力義務) - 通報者の「不利益な取扱いの禁止」 など
- 事業者内の「通報窓口の設置」
- 事業者の内部通報担当者に守秘義務
- 違反した場合、30万円以下の罰金(刑事罰)
- 「公益通報者」として保護される範囲の拡大保護される
- 「通報対象事実」の範囲の拡大
役員も公益通報者保護の対象に
「公益通報」とは、
企業などの事業者による一定の違法行為を、労働者(パートタイム労働者、派遣労働者や取引先の労働者などのほか、公務員も含まれます)・退職後1年以内の退職者・役員が、不正の目的でなく、組織内の通報窓口、権限を有する行政機関や報道機関などに通報することをいいます。
消費者庁HP「制度の概要」より
公益通報者の範囲が拡大され、労働者だけでなく、退職後1年以内の退職者、役員(自ら調査是正措置に努めたことが前提)も新たに対象となりました。
役員に公益通報を行ったことによる解任などの不利益が生じた場合、当該役員は会社に対して損害賠償請求が可能となります。
会社としては、労働者以外に公益通報者保護の対象が拡大することを前提に準備と対応が求められます。